2018年4月10日 07:34        

事実を伝えない事の優しさ

前回のブログ 出自を知る権利についての再考 で記載しましたが、私は個人情報を依頼者様に開示しません。実はこれは依頼者様の幸せも考慮した結果です。「知っているが秘密にしている」というよりは「知らない」方が安全であり、幸せだという考えです。

私の好きな海外ドラマに「メンタリスト」というものがあるのですが、この中でよく似た話が出てきます。非常に印象的なシーンでしたのでご紹介します。(ネタバレを含むのでご注意ください!)

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メンタリストのシーズン7で、ある夫婦が登場します。
「アボット」というFBIの男性と「リナ」というアメリカ商務省の女性です。

夫のアボットはFBIで役職付きなのですが、実は妻のリナもかなりのキャリアウーマンです。そして妻のリナは次期の商務次官候補に選ばれます。これは政府高官の候補になったという意味であり、夫婦ともに念願であった役職です。

夫婦はこの知らせをとても喜びますが、一つ問題が発生します。夫婦の経歴調査です。
リナを政府高官に任命してスキャンダルが起きないかどうか、夫婦揃って事前に調査されたんです。

リナ自身の経歴には一点の曇りもありませんでしたが、アボットの経歴には1つだけ問題が見つかりました。「リオ・ブラボー」というコードネームでの過去のFBIの作戦での活動です。

リオ・ブラボーでは、実はアボットは無許可の殺人を犯していたのです。殺害対象は極悪麻薬カルテルのボスであり、一般市民を大量殺戮するような殺されて当然の男でした。しかしこの殺人はFBIに無許可だったのです。この事実はFBI内部でもみ消されますが、アボットは証拠を握るメンバーから脅迫を受けています。

この状況下で、夫婦は調査員から質問を受けます。

「リオ・ブラボーは、何も問題ないんだな?話すべきような事は何もないな?」

「何も問題ない」。夫のアボットはそう言って全てを否定しますが、妻のリナには謎が深まるばかりです。リナは「何も聞くな」というアボットの言葉を信じ、何も聞かずにアボットを信じ続けます。しかしそのうち、アボットはリナのキャリアを守るために離婚が必要な状況に追い込まれ、理由も告げずにリナに別れを申し入れます。

本当は愛し合っている二人です。別れる理由は一切ありません。リナには何が起きているか理解できず、ついにアボットに詰め寄ります。

リオ・ブラボーのせいね。何があったのか聞かなかったけど、こうなったら話してもらう。相手は私よ。何があったか教えて。

アボットはこう返します。

知らない方がいい。

リナも食い下がります。

なぜ?

そこでアボットの愛情が明らかになります。

リオ・ブラボーについて聞かれたら”知らない”と断言する必要があるからだ…それが理由だ。

リナは事の重大さと夫の愛情の深さに気付き、涙をこらえます。

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事実を伝えない事の優しさ。複雑ですね。